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「何で、そんなに笑っていられるの?恋人と三年もまともに会えないんだよ?寂しくないの?」
翔太は「信じられない」と言いたげな目で葵を見つめる。葵は戸惑いを覚えつつ、口を開いた。
「えっ?会えないって何?私も一緒に行ったら問題ないじゃん!」
「一緒に行くって、仕事はどうするの?」
「それは辞めるしかないけど……。でも、いいでしょ?私たち付き合ってもう八年だよ?仕事はシンガポールでも探せるだろうし……」
「悪いけど」
リビングに響いた翔太の声は、まるで氷のように冷たかった。彼の顔には笑みが一つもなく、葵の胸が痛みを発していく。
「俺、今は葵と結婚する気はない。まだしたくない」
それだけを言い、翔太はリビングを出て行こうとする。それを葵は「待ってよ!!」と引き止めた。
「さっきから何!?恋人と会えなくなるの寂しくないの?とか聞いておきながら、結婚はしないって!自分勝手すぎるでしょ!!」
「結婚しないとは言ってないだろ!!今はしたくないってだけで……」
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