Kiwiが教えてくれたコト

　想定外の質問だったのか、佐々木課長は少し驚いた顔となった。が、すぐに優しい笑顔に戻り、私の質問に返答してくれた。

「癒しの能力が高い・・・って言われたことがなくてびっくりしたけど、柏木さんを見ていたら、なんだか昔の自分を思い出しちゃってね。それで、放っておけなくて」
「それで、色々と声をかけてくれているんですね」
「まぁ・・・ね笑」
「・・・他の人も気を使ってアドバイスをくれたりするんですけど、アドバイスを聞くとイライラしちゃうんです、私。ひねくれてるんですかね？」
「『そんなことができるなら、初めから困ってないわ！』みたいな？」
「え？まさにそれです！そうそう！・・・佐々木課長、すごーい」
「いやいや笑」

　控えめに微笑む佐々木課長の顔をチラッと眺めてから、自分のことを少し思い返してみる。私って、気分が沈むとき、決まって“暗闇に囲まれるような感覚”になるんだよな。自分なんか必要でないという寂しい感情を伴いながら。

　勢いに任せてそのことを佐々木課長に伝えてみたら、課長は少しだけ考えを巡らしてから口を開いた。

「じゃあ、柏木さん。少し提案をしてもいいかな。大阪の天王寺動物園にキウイっていう鳥がいるんだけど、その鳥に会っておいでよ。果物のキウイが巨大になったような鳥なんだけどね」

　アドバイスの内容があまりにも突飛だったから、私は「へ？」って変な声をあげてしまったんだけど、なかなかレアな佐々木課長の助言がありがたく、次の土日に大阪へと向かうこととした。