君だけを

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第33章 終 僕は音楽こそ夢が破れたけど、今は愛するあおいと一緒の日々に、人生で最高の時を過ごしている。 講義が終わって、彼女のバイト先の和菓子屋さんへ一路向かうのは、一時も彼女と離れていたくないからである。それを仲間は何も言わず見送ってくれる。 仲間への挨拶も適当に、僕はそれから和菓子屋へ全速力で向かう。和菓子屋の前に着くと、上がった呼吸を整えて、そして最高の笑顔であおいの前に現れるんだ。 「よ! あおい。」 「純。」 「もう上がるんだよね。一緒に帰ろう。父さんも待ってるし。」 「うん。いま着替えて来るね。」 でも不思議なことに、僕の意識はいつもみんなに別れを告げるところから始まる。 これは夢? 不思議なことに、この日常はいつも同じパターンで流れる。そして必ずそこから始まる。 でも、あおいに会えるからいい。 あおいと会えるところでいつも終わるからこれでいいんだ。
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