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ここまですくことについて読んでもらって、自分の頭の上ですいた髪がどうなってるかはある程度理解していただけただろうか。まだ理解出来ていない人は何度も読んでもらって理解してから次に進んでいただかないと、全く話がついていけなくなるから注意して欲しい。
ここからは少し話が難しくなる。
30%のセニングで話を進めていこうと思う。
まっさらな全くすいてない毛、いわば100%の毛に対して30%のセニングを真横に1回開閉すると根元の方は100%残り、毛先は70%残る。ここまでは簡単な計算だろう。話を上手く進めていく上でここをポイントAと呼ぶ。ポイントAから毛先の方にずらしてセニングをもう1回開閉する。ここをポイントBと呼ぶ。根元からポイントAまでに変化はなく100%である。また、ポイントAからポイントBまでも変わらず70%だ。変化が起こるはポイントBから先で30%減らされるということになる。じゃあ40%だね。と思った人は大きな間違いで、残っている70%のうちの30%が減らされるということだ。そうすると21%が減らされる計算になるので残るのは49%になる。
ここまでをまとめると、全くすいてない毛に対して真横にセニングを2回開閉すると、計算上半分がなくなる。今あなたの毛先は根元の半分になっている。
もう少し詳しく設定をしていこうと思う。
髪の毛の長さを20cmとし、ポイントAを髪の毛の半分のところの10cmとし、ポイントBをさらにその半分の5cmのところとする。
髪の毛は1ヶ月に1cm伸びる。
このことを踏まえて3ヶ月後にカットをするとしよう。長さは3cm切れば元に戻る。しかしすいた毛はどうなってる?
根元に新しい毛が3cmほど伸びている。そこの部分はもちろん100%だ。
そうすると、100%の部分が前回切ったポイントAまでになる。10cmのところでカットしているのだから3cm伸びで13cmのところがポイントAだ。同じように考えてポイントBは18cmのところにある。もうこの時点で、前回の髪の状態と違うのが明白だ。
そこに前回と同じように、セニングを10cmのところと15cmのところに入れたとする。するとどうなるか。
根元からポイントA'までが10cmで100%、ポイントA'からAまでが70%、ポイントAからB'までが49%、ポイントB'からBまでが35%、ポイントBから先は24%となる。
これでおわかりいただけただろうか。既に毛先は1/4まで少なくなっている。俗にいうペラペラな状態だ。正直もう物理的にすくのが難しい領域になる。この項の冒頭でお話した通り、そんな簡単な話ではないのだ。
でも今回まではまだなんとかヘアスタイルを保てているだろう。
3ヶ月後まだ根元が伸びて重さが気になりすきに行く。
残念ながらもうすくところはありません。
「でも多いじゃないですか!」
もちろん言っている意味は理解できる。多いですよね、根元が。しかし根元だけすく技術はない。どうしても長い毛も切ってしまう。もっと毛先がなくなってしまうことになる。
「じゃあどうしたらいいんですか?」
そんな言葉をよく貰う。そんなときは決まってこう返す。
「ご理解ください。お客様にご理解いただくことが重さを解消する第1歩です」と。
現状のすいてあるバランスがあまりにも悪い。これはお客様が悪いわけではない。そうしてしまった美容師にも責任がある。
でも切ったとき、薄くなって軽くなって喜んで帰ったお客様も事実。もしかしたら1度仕上がりの確認をしたとき、「もっとすけますか?」って聞いてる人もいるはず。
もちろんすける。ただし、その後1年くらいは伸ばし続けてからバッサリ切らないとすけない。ということをお客様も美容師も理解しているのか。というのが大きな問題点だ。
次回ボウズにするのなら今日どれだけすいても問題はない。長さをキープしながらすくという行為は、生半可な知識では難しいのだ。
お客様ご自身ですくことに反対はしない。ご自分の髪の毛はご自分のものなので、他人がとやかく言うような権利はない。
もしプロとしてアドバイスをさせて貰えるのなら、やめておいた方がいいですよ、と間違いなく伝える。
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