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順は小学校卒業と同時に隣町に引っ越したので、その家から通っていた公園も記憶を頼りに探すしかなかった。 だが意外にもあっさりと見つかった。 一面伸びっぱなしの夏草に、ぽつんと立つアスレチック。その少し離れた場所に佇む一本の紅葉。そして様々な大きさの樹木が公園を壁のように取り囲んでいる。 風に揺さぶられて草木がさわさわ、順を手招きする。 順は自転車を入口のすぐそばに止め、膝まである夏の草原に足を踏み入れた。 太陽の突き刺すような光に目が眩み、じっとりとシャツが汗ばんでくる。 夏が長引いているのか10月の今でも結構暑い。 少しずつ体を支配する熱に耐えきれず、日陰に移動しようと森へ足を早める。 体を前に動かすたびに全身から玉のような汗が吹き出た。 森の中はまるで別世界だった。 枝の先から広がる青々とした葉が陽の光を遮り、地面には枯れ草の絨毯が広がっている。 巨大な大木は地面の外側にも血管のように根を張り巡らし、土に眠る栄養を吸い取りながら揺るぎなくそこに立っていた。 順は、常に同じ状態を保ち続ける常用樹が好きだった。 変わらないものは人を飽きさせるが、同時に安心感を与えてくれる。 …人間も変わらなければいいのに。 それが不可能であることを順は知っていたが、考えずにはいられなかった。
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