『OMG! ~Oh My God!~』

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    ◇  ◇  ◇  スマートフォンを握り締めたまま何分が経ったのか。  ふっとディスプレイが暗転して、亜沙美は我に返る。改めて電源を入れ直し、息を止めて呼び出された電話番号の下のボタンを押した。  調べて登録しておいた、穂台支店の代表番号。  さすがに支店長室に直電を入れるほど厚かましくも非常識でもない、つもりだ。 「あの支店長、……上坂支店長さんをお願いします!」  通話が繋がり担当者の型通りの受け答えが終わるやいなや、亜沙美はつかえながらも要件だけ告げた。 『大変失礼ですが……』 「佐原です。佐原 亜沙美です。そうお伝え願えれば──」  ここで断られたらどうすればいいのか。そこまでシミュレーションしていなかった。当然、上坂と話せるものという前提でしか。 『サハラ アサミ様ですね。少々お待ちくださいませ』  しかし内心取り乱した亜沙美に対して、電話の向こうの女性の丁寧な応対と同時に保留音が流れる。 『お電話変わりました、上坂です。──佐原、さん?』  待つほどもなく耳に流れ込んで来た、少し懐かしい声。まだひと月しか経たないのに。
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