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「いや、静加のとこは違ってもさ。……第一、俺がこんな子どもっぽい趣味の女と何かするわけないじゃん。な? お前にもそれくらいわかるだろ?」
「──まあね。たしかにそうか」
俺の言葉に改めて手の中のピアスを見つめ、彼女は何とか納得してくれた。
ああ、そうだ。花にも口裏合わせてもらわないと。この先、静加と会うこともあるだろうし。
また何か強請られるのかぁ。あいつ、年取って生まれた娘で親に甘やかされてるもんな。
中学の頃から茶髪にピアスの頭の悪いギャルが、まさかこんな形で役立つ日が来るとは思わなかった!
しかし油断したな。
静加は、たとえ俺が留守の間に部屋に入っても家探しするような女じゃない。今も鋏を取るように頼んだ俺に応えて、小物入れの引き出しを開けただけだ。
その引き出しにピアスを放り込んだままだったこと自体、すっかり失念していた。
本物のダイヤのピアスなら、ごちゃごちゃした引き出しの中では紛れて目につかないだろう。
けどこれは、デカくて青いガラス玉で結構目立つからな。
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