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【2】
とりあえず機嫌を直した静加が帰って行ったあと。
俺は、ブルーのピアスを摘み上げて大きく息を吐いた。今日はどうにか乗り切ったが、このままにはしておけないよな。
別れた恋人の二十歳の誕生日のプレゼントに俺が贈ったものだった。
今思い返せば恥ずかしいくらいの安物なのに、彼女はすごく喜んで大切にしてくれていたんだ。
はずしたら必ず、小振りなピルケースに入れて仕舞ってたくらいだ。「蓮の初めてのプレゼントだもん。絶対なくしたくないの」って笑ってさ。
真亜沙。
大学で知り合った、俺の初めての恋人。同じ学部で語学のクラスが一緒だった彼女とは、友達の延長で付き合い出した。
最初はただ楽しかったよ。それが、だんだん気持ちがすれ違うようになったんだ。
俺が悪かったのも今はきちんとわかっている。
彼女が大学の男友達と「付き合う」のが不満で、いちいち口を出して縛ろうとしたからだ。
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