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デートも外へ行くより、茉希の部屋で会うことも増えていた。
そして適当になにか食べながら、取り留めのない会話を交わす。
この部屋で、食後はそれぞれ別のことをすることも珍しくなかった。
彼が何やら本を読んでいるのを横目に、茉希はイヤホンを耳に入れて音楽を聴く。あるいは茉希がタブレットで動画を観ている横で、朗が音楽を聴いていることもよくあった。
たまには二人で人気のドラマを観ることもあったが、むしろ例外だった気がする。
それが気楽だったのも確かだ。いちいち相手の顔色を窺う必要もなく、好きなことができる。
とはいえ、これでは一緒にいる意味があるのだろうか、という想いが過ったこともあった。
……朗とも終わりなのか、と考えたこともないわけではない。恋にも賞味期限があるのかもしれないな、とまるで他人事のように。
二人の間でクリスマスの話題など一切出てもいなかった。
もう五回目になり、毎年お決まりの流れなのだからわざわざ確認するようなこともない。流石に決まった相手がいる以上、「クリスマスに平気で別の予定を入れる」ことはないからだ。
例年通り料理を買うなら、予約するかどうかを考える程度だった。二人とも甘いものが苦手な方で、ケーキもわざわざ用意することはない。
ただの、とりあえず「恋人同士」のかたちを繕うために迎えるイベントとして?
寂しいけれど、所詮長い付き合いなど飽きも来てこれが当然なのかもしれない。
それでも朗は、茉希に高圧的な態度を取ることはなかった。
部屋に来た時も、彼女に世話をさせるのが当然、といった勘違いを見せることもない。
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