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「ねえ、次の満月は『ブルームーン』なんだって!」  約束の場所で顔を合わせた途端に仕入れたばかりの情報を披露した葉音に、尚登は微笑み頷いた。 「ああ、『季節のブルームーン』だね」  言葉の意味を掴めずにいる葉音の表情に気づいたらしく、彼は慌てたように続ける。 「ごめん! つい余計なことを……。僕はこういうところが良くないんだな」 「私はわからなかっただけよ。教えてくれる?」  少し躊躇いながらの尚登の滑らかな説明は、葉音にはすべて理解できなかった気がする。  とりあえず、「季節のブルームーン」は単なる周期の問題で二、三年に一度は巡って来る、それほど珍しくはないものらしい。  そして何より「青」とは無関係だという。  真の「青い月」は、極稀な現象で予測はできないものなのだそうだ。英語で青い月(Bluemoon)は、「滅多にないこと」というフレーズにも使われるのだとか。  ブルームーンという単語だけ耳にして「青い月が見られる!」と嬉々として話題にしてしまった、と己の浅慮を恥じる葉音に、彼の方こそが反省しているようだった。
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