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「式にお金かけるなら新居と、あとどうせなら旅行の方がよくない? こんな堂々と長期休暇取れる機会ってそうはないよ。葉音ちゃんはどこ行きたい?」 「私、旅行ってあんまり興味なかったから……。尚登さんは? 行きたいところないの?」 「僕も出不精だから別に。でもさ、そういう二人だからこれが最初で最後の旅行になるかもしれないよ? 思い切って二泊や三泊じゃ行けないところにしよう。新婚旅行(ハネムーン)だから」  結婚を決めて打ち合わせをする中での尚登との会話が、不意に蘇る。  ハネムーン。  Honeymoon、……蜜月。  葉音と尚登の関係には、ことあるごとに『月』が顔を出し切り離せない。  十六夜月夜の運命のような出逢いから、まるで月が二人を追い掛けて来るようだ。  この先一生を共に過ごすなら、いつか彼と本当の青い月(ブルームーン)が見られる日も来るかもしれない。                             ~END~
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