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目当てのショッピングセンターに着くと、駐輪場に自転車を止める。
どうやら裏口を入ってすぐのペット用品売り場専用のエレベーターを使えば、小型犬や猫も同伴可能らしい。
売り場の店員に犬を見せて事情を説明し、すぐに必要なものを教えてもらった。
一応歯も生えているし、思っていたほど赤ちゃん犬というわけではなさそうだ。アドバイスに従って、フードと容器にトイレとそこに敷くシートなど、加えてキャリーケースも買うことにした。
支払いは全部晋也だった。突発的な出費は正直痛いけれど、菜穂に出させる選択肢などあるわけもない。
その夜から日曜日まで、結局晋也は仔犬と一緒に菜穂の部屋に泊まり込んだ。
スマートフォンのカメラで写真を撮って、一応今でも連絡を取っている大学時代の友人や仲の良い同僚にメールやメッセージを送ったり、通信アプリのグループに画像と事情説明を投稿したり。
菜穂もその場であちこち連絡してくれている様子だった。
しばらくすると事情を訊くがてらの返信はいくつも来たものの、引き取ってくれるという声は残念ながら皆無だった。
興味を持ってくれた相手はいても、さすがに「可愛い、欲しい」程度の気持ちだけではどうにもならない。生き物を飼うのは決して気軽なことではないのだから。
「晋也、そっち脈ありそうな人いる?」
日曜日の夕方、仔犬をあやしている菜穂に訊かれて晋也は黙って首を横に振った。
「そっか、やっぱりねぇ。私の方もちょっと無理そう」
淡々と口にする彼女に、晋也は何と答えればいいのか迷う。どうすればいいのだろう……。
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