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「……しょうがない、私が飼うわ。たった二日でも情が移っちゃった気がする。放り出すなんてできない」
さばさばした口調に晋也の方が驚いてしまった。いいのか!?
──きっと菜穂は、最初に「預かる」と口にした時から飼うことになる覚悟もしていたのだろう。
実際のところ晋也たちの同年代の知り合いは一人暮らしが多いし、大抵はペット不可の部屋なのではないか。
菜穂はもともと実家では常に犬や猫がいた環境で、もし飼いたくなった時のためにとこの部屋に決めたそうだ。
しかし一般的には、わざわざペット可の物件を選ぶくらいならもう自分で飼っている確率も高い気がする。
「ゴメン、菜穂、ホントに」
本心から詫びる晋也に、菜穂は笑ってひらひらと手を振った。
「いいよ、私が決めたんだし。ひとりで留守番させるのだけちょっと可哀想だけど、そこは我慢してもらうしかないなぁ」
なるほど、そんな心配もあるのか、と晋也は今更のように考える。
けれど晋也や菜穂ではなくとも、打診した友人・知人は全員が働いているし条件は同じだ。
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