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「西区域ってここー?」
店から歩いて30分ほどが経ち、アサギはやっと止まった。
「言わずもがなだよ。魔物がうじゃうじゃいる」
僕は腰の剣に手を添えて微笑む。
「そっか。そうだよね。じゃあ、ミッション開始!」
アサギは剣を抜くと、なんの躊躇いもなく魔物へと駆けていった。
「ヴィト、背中は任せた!」
元気に突っ込んでいくアサギの背中を追う。
「アサギはいつも指示が雑なのっ!」
アサギの死角から攻撃を仕掛けた鬼のような魔物を切り捨てて、背中合わせに立つ。
あぁ、後ろには君がいる。
だから怖くない。
だからこそ強くなれる。
魔物の群れを一掃すると店へ向かって歩き出す。
僕の前を歩くのは、いつだってアサギだ。
「ねぇ、ヴィト。また強くなった?」
僕の少し前を歩きながら、アサギは首だけ振り返る。
違うんだよ、強くなったんじゃない。
背中を合わせたとき、伝わる温もりが僕を強くしてくれる。
アサギを信じているから、だから安心して、全力で戦えるんだ。
これは、背中合わせの強み。
君を感じられるから。
だって、君の背中はこんなにも頼もしい─────
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