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STEP1
三日前に降った雪がまだ残る北校舎の裏庭。
それでも普段より人が訪れて踏まれまくったからなのか、雪は跡形も無く、地面はぬかるんでいた。
その日は央崎高校の大多数の生徒にとって特別な日。
二月十四日、バレンタインデー。
言うまでもなく、好きな人にチョコを渡して告白出来る日だ。
普段の北校舎裏は、職員室の廊下側に面しているのもあって生徒には避けられてる。昼休みも誰も寄りつかない。だけど(だからこそ?)、ある目的で使われることがよくあった。
そう、告白場所として。
かくいうわたしも、一年三組39番山崎くんを呼び出していた。
「えっと、中村明里さん……だよね?」
「はいっ。わたしの名前、覚えててくれたんだ?」
「え? いや、だって同じ委員会でしょ」
そう! 同じ風紀委員だし、放課後の見回り当番だった時、少し話したこともある。でもわたしの名前まで覚えてるとは思わなかった。これはもしかして……好感触?
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