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「あの、山崎くん、わたしと……つき合って下さい!」
ラッピングしたチョコレートを山崎くんに期待を込めて差し出すと
「う〜ん」と渋い返事。
顔をあげると度のきつそうな眼鏡の奥にある山崎くんの目が細められ、首を傾げている。
「あのさ、本当に僕のこと好きなの?」
「えっ?」
「中村さんって、誰彼かまわず告白してるんでしょ?」
「いや、あの、誰彼かまわずってわけじゃ……ない……けど」
「噂で聞いてはいたけど、まさか本当だと思わなかったよ。この一年で五人も告白したとか?」
「あ、はい。それは、たしかに。で、でも、それは今まで誰もOKしてくれなかったからで。わたしだって、こんな人数になってしまうとは思わず……」
それは嘘じゃない。
つき合ってもらえることになったら、もちろんそこで終わるはずだった。
「あのさ、言いたかないけど……中村さん、学校で何て言われてるか知ってる?」
「何て?」
本当になんだろう。わたし、噂されるほど目立つ容姿でもなければ、とりたてて特徴もないと思うんだけど……
「“玉の輿狙ってるんじゃないか”って。その、僕の家も小さいけどさ、一応スーパー経営してるし」
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