STEP4

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田中くんはなぜかわたしをじっと見てきた。 実際背が高いんだけど、なんだか今はひときわ見下ろされてる感じがする。というか、わたしが小さくなってしまいたいというのか……。 「貸してやろうか?」 「へ?」 思わず顔を上げると、真面目な表情の田中くんと目が合う。 そうだ。そういえば昨日と違って、さっきから田中くんの態度に茶化すようなものは感じなかった。 「二万円、貸してやるよ」 もう一度言われて、ようやく頭が追いつく。 貸す? ど、どういうこと? 「えっ? どうして。意味がわからない……」 「ほかに当てがあるならいいけど。俺はどっちでもいいし。ただ、条件はある」 “条件”と言ったとき、田中くんが初めて面白そうに口の端を上げた。 その微笑み、やっぱりただの親切じゃないんだ……。 「その気なら、三時半きっかりにそこの裏に来い。部活とかやってないんだろ? 桜庭先生がとっとと帰るって言ってたし。俺も放課後は暇じゃないから十分も待たないからな。時間厳守で。じゃあ」
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