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とりあえず一番安かったオレンジジュース(120円)を飲むと、ようやく落ち着いた。なんだかんだ肩に力が入ってたみたいだ。
そりゃ、そうだよね。だって主導権を握ってるのは田中くんで、わたしはこれから何がどうなるかもわからないんだから。
ただ、お店の中にも央崎生は居なかったので、そこは安心して話に集中出来そうだった。
「お待たせ」
言う通りすぐに田中くんが戻ってきて、向かいの席に座った。どこまで行ってきたのかわからないけど、急いで戻ったのか暑そうにマフラーを外すと、ブレザーも脱いで椅子の背にかける。ネクタイも少し引っ張って、襟元も緩めた。
「あー、うま」田中くんは自分の注文した、たしかアイスカフェオレ(220円)を半分位飲み干すと、息をついた。
どうでもいいけど、早く本題に入って欲しい。
貸してくれる……のはいいけど、「条件」のことだよね。時間取って話をするというからには。
「はい、これ」
タンッと軽く指で音をたてて、田中くんが目の前に封筒を置いた。銀行のATMに置いてある、お金入れる封筒だ。
「二万入ってる」
たしかに薄い封筒は万札っぽいのが透けて見える。
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