STEP5

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さらにテーブルの下から伸びてきた田中くんの左手が膝の上のわたしの右手をガシッとつかむと、いきなりテーブルの上に乗せた。 「な、な、何⁇」いや、なに、突然。なんで、手? 「その反応」何の反応? 「あんた、男と付き合ったことないだろ?」 「しっ、失礼ね!……な、無いけど」 「というか、好きになったことも無いんだろうな」 言われてカチンときたけど、否定も出来なかった。 たしかに今まで気になった男子とかも……いなかったかも。さらにうちがあんなことになってからは、正直そんな余裕もなかったし。放課後はまっすぐ帰って家のことやったり、煇の相手したりで終わってた。 あらためて考えると、我ながら可哀想になってくる。 「ごめん、言いすぎた」 わたしが黙りこんだので、自分のせいだと思ったのか、田中くんがめずらしく謝ってきた。 「ま、今、俺が手握っても、全く意識してないじゃん。だから頼みたい」 「意識?」 って言われてもよくわからないけど、たしかにドキドキはしてない。いいかげん、手は離して欲しいとは思うけど。 「好きになられると面倒だからさ」
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