STEP5

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「週一ペースで下駄箱や机に手紙が入ってて、月一ペースで呼び出しされて、クラスも名前も知らない女子から告白されて、バイト先まで後つけられたりとか……それはかなりレアだけど、そういう毎日が、高校入ってから続いてた」 「う、うん」 「あとさ、女子って本人が呼びに来ないのなんで? たいてい友だちが間に入ってくるんだよな。陰から見てたり。それで断れば、なぜかそいつから責められる。最初は断るのも嫌な気分だったけど、こっちがなんで嫌な気持ちにならなきゃいけないんだって思ったら、もうバッサリ断れるようになったけど」 「そ、それは、たしかに大変だね」 「けど、そんなの愚痴ったって、自慢にしか聞こえないだろうし、上級生からは彼女取っただの変な難癖つけられるのもウンザリだ。出来る限り同性とは波風立てたくない。ただ平穏無事に学校生活を送りたいだけなんだ」 積もり積もったものが堰を切ったみたいに一気にまくしたてた田中くんがようやく口をつぐんだ。 それはたしかに大変な日々で、“平穏無事”とは言い難いよね。なんか力になってあげたい気はしてきたけど、とはいえ、わたしに何が出来るんだろう。
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