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『なに? 何? めずらしく明里から電話してきたと思ったら、そんなことになってたんだ?』
さすがに何も言わないわけにはいかないと思って、夜になって蓉子ちゃんには今日のやりとりを話した。
「……怒ってないの?」
『そりゃあ、「なんで言ってくれなかったの?」とは思うけど、あんたの考えることは大体、わかるから』
「わかるって?」
『わたしと貸し借りしたら友情壊れるとか、変な遠慮したんでしょ』
すごい、本当にお見通しだ。
『そんな安い友情って思われるのはちょっと悲しいけど、お父さんのこともあるし、気持ちはわかる』
「ごめんね」
『ところで、いいの? 付き合う設定って、あの田中とだよ?』
「うん? けどウソだし、学校にいる間だけだし、誰かに聞かれたら“彼女です”って答えるくらいじゃない?」
『……そんな単純なものかなぁ』
蓉子ちゃんが不安視してたわけを、わたしは月曜の朝からさっそく知るところとなる。
「明里」
校門に入ろうとしたところで、いきなり下の名前を呼ばれて、思わず立ち止まった。
「おはよ」
スッと横に立った人物に目が丸くなる。
「どうしたの? 教室まで一緒に行こう」
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