STEP5

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『なに? 何? めずらしく明里から電話してきたと思ったら、そんなことになってたんだ?』 さすがに何も言わないわけにはいかないと思って、夜になって蓉子ちゃんには今日のやりとりを話した。 「……怒ってないの?」 『そりゃあ、「なんで言ってくれなかったの?」とは思うけど、あんたの考えることは大体、わかるから』 「わかるって?」 『わたしと貸し借りしたら友情壊れるとか、変な遠慮したんでしょ』 すごい、本当にお見通しだ。 『そんな安い友情って思われるのはちょっと悲しいけど、お父さんのこともあるし、気持ちはわかる』 「ごめんね」 『ところで、いいの? 付き合う設定って、あの田中とだよ?』 「うん? けどウソだし、学校にいる間だけだし、誰かに聞かれたら“彼女です”って答えるくらいじゃない?」 『……そんな単純なものかなぁ』 蓉子ちゃんが不安視してたわけを、わたしは月曜の朝からさっそく知るところとなる。 「明里」 校門に入ろうとしたところで、いきなり下の名前を呼ばれて、思わず立ち止まった。 「おはよ」 スッと横に立った人物に目が丸くなる。 「どうしたの? 教室まで一緒に行こう」
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