STEP5

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「うわ、“面白い女”なんて……マンガ以外で初めて聞いたんだけど」と市川さんの友だちがぼそりと呟いたけど、どういう意味だろう。 「だから俺から申し込んだんだよ」あ、そういうことにしたんだ。 「そんなの、ヘン! この子、告白魔の変人なんて言われてるんだよ?」“変人”なんて言われてるんだ……。 「ちょっと、光希。気持ちはわかるけど、落ち着いて」友だちが腕に触れたけど、市川さんはバッと振り払った。 かなり……ヒートアップしてる市川さん。そりゃ、そうだよね。彼女みたいなかわいい子が振られて、その次がわたしだなんて。 田中くんがどう納得させるのか。隣にいる彼を見ようとしたそのとき、ふいに肩をつかまれ、グッと引き寄せられた。 「付き合ってもないし、好きでもないのに、裏で勝手にでっちあげるやつより、告白魔でも変人でも正直なやつの方がいいよね」
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