STEP6

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田中くんが、学年で一、二どころではなく、全校的に有名な存在だということをわたしは本当の意味でわかってなかった。朝イチから“彼女”を印象づけたかった彼の目論見は成功し、午前中にはおそらく学校中に広まっていたんだと思う。普段からそんなに話しかけられる方じゃないけど、ことさら教室では(蓉子ちゃん以外には)遠巻きにされてる気がした。 じゃなきゃ、ただ学食で食べてるだけなのに、こんなに周囲から注目されることはないだろう。 一階の昇降口を入ってすぐのところにある央崎高校の学校食堂には調理室などはない。昼休みが始まる数分前から入り口で外部からくるパン屋さんが売るパンならある。十分もすると売り切れてしまうので早い者勝ちだ。 ここは単純にテーブルとイスを提供してるだけなんだけど、教室三つ分くらいの広さはあるので、クラス関係なく集まりたい人たちには人気の場所だった。
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