STEP6

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呆れた様子の田中くんと先日の印象より実はチャラ男だった志村くん、そしてかつてなくツンケンしてる蓉子ちゃん。その陣営の端に追いやられるように座っているわたし。彼らのあちら側な会話に驚きつつ、透明人間になった気がして少し安心した。今のうちに生姜焼き食べちゃおう。 「明里はいつも弁当なの?」 「うぐっ」 ところが田中くんの声が前から飛んできて、生姜焼きを飲み込もうとしてたわたしの喉を詰まらせた。あわてて水筒のお茶で流しこむ。顔を上げると田中くんはわたしのお弁当をじいっと見ていた。 そんな見られるようなお弁当じゃないので、恥ずかしい。昨日、100g98円という豚バラをヤマユーで大量にゲット出来たので、晩御飯は生姜焼きだった。その残りをキャベツの千切りとともにご飯の上に敷き詰めただけの高校生男子みたいなお弁当だ。デザートにみかんは持ってきたけど。 お父さんは諸事情でいないし、お母さんは土日勤務だったからさすがに今日は休みで、すなわち用意するのはわたしのお弁当だけだったから、こんな内容になった。もしお母さんの分も作るなら、卵焼きとか、ほうれん草の胡麻和えとかも入れるし!
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