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「美味そう」
えっ？ これが？
驚いて田中くんを見ると、物欲しそうな目でこちらを見つめていた。
嘘でしょ？ まさか
「た、食べたいの？」
「うん。もらっていい？」
肉のことだよね？ 本当に？
ま、まあ、いっぱいあるから、少しくらいいいけど。
そう思ってうなづいたら、とんでもないことが起こった。
田中くんがわたしの持ってた箸を取ると、お弁当箱の生姜焼きとキャベツとご飯を、どうしたらそんな量掴めるんだというほど挟んで口に入れたのだ。
思いのほか、大きな口開くんだ。
なんて変なところを感心してる場合じゃなかった！
わたしのお弁当、半分無くなってる！
「ちょっと⁈ ひどくない？」
味見程度だと思って「いい」と言ったのに、ガッツリ食べるなんて。
そりゃ、ここに来たときは緊張のあまり食べれる気がしないと思ったけども！
あの量を一口で食べて飲み込んだ田中くんは箸を弁当箱の上に置くと
「ほめん（ごめん）。でも美味かった」と言った。
「……」そんな言い方されたら、これ以上怒れないじゃん。
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