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「なぁなぁ!優李!妖精さんだせ!」
いつにも増して弾んだ声で話す友人にため息をつく。
「そう」
「んだよいいだろ妖精さん!」
「妖精さん」それは僕が、いやこの学園生徒がここ最近で1番聞いてる呼び名だろう。
「みんな大袈裟すぎない?」
「おいおいお前よくそんなこと言えんな!?だって見ろよ!!あれ!」
凄い形相で顔を近づけてくるので両手で軽く抑えながら、友人の指差す先に視線を移す。
「…綺麗だね?」
「それだけかよ!?てか手邪魔!」
それ以外になにが?と言えば嘘だろと嘆きだす。そんな友人を横目にもう一度中庭で静かに花に水をあげている人物に目を向ける。
綺麗だ。目にして最初に浮かぶのがそんな事であるくらい綺麗だった。遠目からでも分かるほどの整った容姿に周りに広がる緑も相待って、まるで別世界を眺めている様だった。妖精さんなんて言われるのも納得だ。
でも、それだけ。
どんなに綺麗だからと言ってもそんな騒ぐ事じゃないだろう。
常にかっこよくても、可愛くても笑っていても内心なに思ってるか分からない。僕みたいにね。
「それに?あんだけ美人であの性格じゃ総受けルートも…いや、でももうすぐで転校生来るしもしかしたら王道転校生の可能性も!?」
「…なに言ってるの?」
またなんか言ってる。
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