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『転校生?』
「はい!今月末に来るらしいです」
『へえ』
解散後、寮に向かっていると霧矢くんがそう言えばと話してくれた。
『何年生なんだろう?』
「1年生です!僕のクラスに来るって話題になってました」
『後輩かぁ』
同級生なら友達になれるかなー?なんて期待してたけど、学年が違うなら関わる機会はそんな無さそうだな。
「これで美形が来たら大騒ぎですよね」
あははと笑いながら言う霧矢くんに確かにと考える。
『そしたらすぐ僕のクラスでも話題になっちゃいそう』
「ですねー!この学校じゃ美形は愛されもんですから」
『皆、凄く顔面偏差値高いもんね』
「…先輩、顔面偏差値なんて言葉知ってたんですか?」
まさかの発言に思わずむっとしてしまう。
『霧矢くんは僕をなんだと思ってるの?そりゃあ知ってるよ』
「…意外」
失礼な。
「あ馬鹿にしてるとかじゃないですよ!?」
ほんとか?と言う意味を込めてじっと見つめる。
「なんて言うか…先輩そういうのあんま詳しくなさそうだなって思ってたので」
『…そうかな?』
「はい!てか知らないで欲しかったです」
願望じゃん、と思いながらも満面の笑みで言うものだから何も言い返せない。
『…この学園の人達はなんでそんなに僕に夢見てるんだろう』
なんてずっと思ってた疑問を口にしながら自分の呼び名が妖精さんと知った時は心底驚いた事を思い出す。
「それは皆、先輩が大好きだからですよ!!」
『…え?』
予想外の返答に間抜けな声を上げてしまう。
「好きだから、色々考えちゃうんです。先輩はこんな人かなーとか」
『…好きだから』
「そうです!」
『でも、皆が思ってることと違うって知ったら、』
「それでもです!!」
嫌いになっちゃうのかな、と続けようとしたがそれを防ぐように霧矢くんが今日1番の声で言う。
「僕たちは先輩が好きなんです。だから寧ろ、新しいとこ知れた!ってもっと好きになっちゃいますよ」
あまりに嬉しいことを言うものだから、思わず泣きそうになってしまう。ほんと僕ここ来てから涙腺が緩いなあ。
『ふふ…ありがとう』
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