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『ふふ…ありがとう』
目じりに涙をためながら凄く幸せそうに笑う先輩を目に、やっぱり好きだなぁと考える。
上条先輩は、僕が今までに会ったことのないタイプの人だった。
物腰柔らかくて、常に綺麗な笑みを浮かべていて、人目見た時はまさに皆の言う妖精さんみたいだと思った。
それは話してみても変わらなかった。
優しさを優しさだと思ってなくて、他の人じゃ中々出来ないことを当たり前のようにやる。誰にでも丁寧に接するその姿に、何回も惚れた。
でも先輩はたまに、悲しそうに笑う。
まだ1ヶ月ちょっとの付き合いだけど、好きで好きでずっと見てたから、出来る限りそばに居るようにしてたから気付けた。
『…この学園の人達はなんでそんなに僕に夢見てるんだろう』
ほら、また悲しそうに笑った。
『でも、皆が思ってることと違うって知ったら、』
「それでもです!!」
こう言っちゃあれだけど、きっと先輩は”好き”という言葉をあんまり信用していない。
でもだからこそ、
「僕たちは先輩が好きなんです。だから寧ろ、新しいとこ知れた!ってもっと好きになっちゃいますよ」
ちゃんと伝えるんだ。
僕達は先輩が好きなんですよって。
まだ出会って間もないけど、それでも先輩の良さはいっぱい理解しているつもりだ。親衛隊を作りたいと思えるほどには。
そういう気持ちを込めて先輩に伝えた。
自分が大きな勘違いをしてるとも気付かずに。
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