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第四話:いわゆるフラッシュ撮影はご遠慮くださいってやつ
「うわあっ!目がっ!目があっ!」
「おい!マリン!某有名アニメ映画の敵やないんやからしっかりしい!」
「そんなこと言ってもいきなりすごい光放たれて目が見えないのよ!」
冒頭から私、魔法少女ダイナマイト♡マリンとんでもない目にあわされてピンチである。
・・・というのも例によって夢の中でバッキーと戦闘になったのだが・・・
~今からさかのぼること数時間前・・・ザコバッキーをなぎ倒した直後の出来事である~
「今度の相手はあんたってわけね!いいわ!さっくり倒して終わらせてあげる!」
「ぐへへ!マリンちゃん、かわいいねえ!一枚撮るよ~」
このバッキー、なぜかカメラらしきものを構えパシャパシャと私を撮りはじめた。
「何?ちょ、やめてよ!いつも以上にこのバッキーキモいんですけど・・・」
「もうちょっと下からいこうかな~」
「!!」
ローアングルでカメラ構えるバッキー、明らかにスカートの中を狙ってやがる!
「この!一応健全な内容の話なのに、そういうことするなあ~!」
ロッドをぶん回して牽制する。
このバッキー結構な変態なのかもしれない。
「そうやで、マリンのスカートの中見ても何も得する事あらへんで~」
「このくそヤギ!お前はどっちの味方だ!」
ヤギピーまであおりだす始末、まったく・・・
それにしても今回、私はだいぶ調子が狂わされている。このままでは勝てる戦いも勝てなくなってしまう。
こうなればさっさととどめをさすしかない!
「怒った顔もかわいい!ベストショットバッキー」
と考えをまとめようとしている間もカメラバッキーは写真を撮り続けている。
「この!ブルースター・スラーッシュ!!」
「マリン!こいつなんかやばいぞ!」
私は一気にけりをつけるために、ヤギピーの警告を無視し、光の刃をバッキーに斬りつけようとしたその時である。
「これはナーイスバッキーですね~!と○たけフラッシュ!!」
呪文のようなおかしな言葉を発し、指で四角をつくったと同時にカメラバッキーの体全体が光に包まれた!
そして、その瞬間私は大量のフラッシュを浴びたようなとんでもない眩しさで目の奥がちかちかして視界ゼロ状態になってしまったのである。
~そして今に至る~
「ううう、目が開けられない!」
「間抜けな演技で油断させ、こうやって視界を奪ってしまえば、あとはゆっくりブルースターを奪うのみバッキー!」
足音がゆっくり近づいてくるのがわかる・・案外このバッキー頭が切れるかもしれない。
「こいつ!マリンに手をだすな!」
「戦えない山羊のくせにかばうバッキー?」
めずらしくヤギピーが私をかばおうとしてるらしいが、その直後・・・
ドカッ
「ぐえ~」
どうやら一撃でのされたようだ。このヤギくそ弱っ・・・
「このまま、ロッドをいただくバッキー!」
「やめてー!」
奪い取られまいと私は必死にロッドを握る・・・
とその時
ジリリリリ・・・
「序盤に遊びすぎて時間が足りなくなってしまったバッキー!あと一歩だったバッキー!」
「アブなっ!今回は目覚ましのベルに助けられた!」
すんでのところで起きる時間になったようだ。
「次は確実に奪い取るバッキー!首を洗って待ってるバッキー!」
捨て台詞を吐いたカメラバッキーがどんどんぼやけていく・・・
そして、私は枕元で目覚ましがいまだに鳴り続けているベッドから飛び起きた。
「うう・・・まだ目がチカチカする。」
先ほどまでの状況が夢だったせいもありそんなはずはなく、
目も開けることはできるし、視界もはっきりしている。
いつも通りの健康体だ・・・唯一気分が最悪なのを除けば・・・
「ホント、ひどい夢見ちゃった・・・」
「それは災難ね~」
学校に向かう道で、私は先ほどの夢をかいつまんでチャンチーに話した。
もちろん魔法少女の話は恥ずかしくて言えなかったので、若干脚色・・・変なカメラマンに追い掛け回された上に体が光りはじめて目つぶし攻撃されたことにした。いや、それでも十分ヘンな夢なのだが・・・
それを熱心に聞いてくれる親友、ありがて~
「しかし、魔鈴も面白い夢を見るわね~私、最近夢全然見ないから、ちょっとうらやましいかも。」
「嫌よ~だって、最近見る夢ほぼほぼ悪夢よ!それなら永久に夢なんて見ない方がいいって!」
ピクッ
ん?一瞬、彼女の表情が思いつめた表情になったようだが・・・気のせいか・・・
再びチャンチーはしゃべりだした。
「そうよね・・・でも夢ならサングラスとか光を防ぐ物が用意できれば、何とかなりそうだけどね~でも、そう都合よくいかないか・・・」
「サングラス・・・光を防ぐ物・・・そうか!ありがとうチャンチー!」
さすが我が親友ナイスヒント!
「ん?魔鈴どうしちゃったの?寝不足でまだ寝ぼけてるかしら?」
不思議がる親友をよそに私はある画期的な作戦を思いついたのである!
待ってろ、今夜!!待ってろ、カメラバッキー!!
一人闘志をメラメラ燃やす魔鈴ちゃんなのであった!
~そしてその夜~
気が付いたら私は眠りについていた。
ちなみに戦いは継続しているらしく、すでに私は変身済である。
「よう、マリン。昨日はゴング、いやベルに救われたが、今はまだ早い時間帯、ここでいきなり昨日みたいな状況はまずいぜ!」
いつも以上に威圧的なヤギピー、一撃でバッキーにのされたくせに・・・
「ちなみに私ってロッド奪われたらどーなるの?」
素朴な疑問を青山羊に投げかける、すると・・・
「・・・」
「そこ、答えろ~!こわいじゃないか!私死ぬのか?」
「悪い、正直知らんのよ。」
「なら早くそういいなさいよ!さっきの変な間がマジ怖いのよ!」
あまりの怖さにヤギピーの頭をひっつかんで揺さぶる私・・・
「落ち着けやマリン!ただ、ロッドっちゅーかブルースターを奪われるのは、マズいのだけはハッキリしとる。とにかく今回、対策練らないとヤツに負けてまうで・・・」
「案外冷静じゃない。大丈夫、作戦ばっちり立ててきたから!」
ウィンクする私。
「ばっちり?ほんまかいな・・・」
「ほんま、ほんま、セクシーなほんまのかいなさん。」
「ちょ、おま・・・本人に見られたらどないすんねん。」
と私たちが若干ふざけていると突如バッキーがどこからともなく現れた!
「ここは戦場バッキー!お前ら油断しすぎバッキー!」
「え?突然襲撃!聞いてない!」
「必殺と○たけフラッシュ!」
「おい、バッキーが不意打ちしてきたで!」
段取り無視してカメラバッキーは私たちに襲い掛かり、しかもご丁寧に昨日放った大技を出してきた!
しかし、ここは対策済みのマリンちゃんである。
「ブルースター・シールド!」
私がそう言い放つと目の前に大きな盾が現れ、私を覆い閃光を遮る!
「おお!マリンやるやん!!」
ふう、作戦成功!かろうじて閃光を防ぐことができたようだ。
「こしゃくな!一度防いだからといってもう一度防ぐことができるかなバッキー?
再び、両手の親指と一指し指で四角を作るポーズを取り・・・
「とみ○けフラッシュ!」
「ブルースター・シールド!」
「○みたけフラッシュ!」
「・・・シールド!」
「ぜえぜえ・・・とみた・・・ぬうああ!連発しすぎてバッテリー切れバッキー!」
いきなり錯乱するカメラバッキー・・・
「はあ?その技バッテリー必要なの??」
「よくわからんがマリン、チャンスやで!」
「くそ!予備バッテリーどこバッキー!」
急に所持品をあさり始めるバッキー、私は警戒しながら距離を詰めた・・・
「どうやら、ご自慢のフラッシュもネタギレみたいね。」
私はロッドに光の刃を纏わせ一気に振り下ろした!
「さようならのブルースター・スラッシュ!」
「『フィルム・カメラ』は最高バッキー!」
私はカメラごとバッキーを両断し、バッキーは断末魔ではなく謎のメッセジーを残しつつ消滅した。
「CMありがと・・・いや、何言ってんの私・・・ふう、それにしても今回はちょっと手ごわかった・・・」
「マリンお疲れやったな・・・おお、またブルースターの欠片や、調子ええな。」
足元には以前と同様三角形に削り出された青く光る水晶が落ちていた。
拾い上げると前回同様ロッドのくぼみにすっぽりと収まった。
「これで欠片は3つそろったわけやな・・・そや、マリン、おそらくこの欠片もなんか力を与えてくれるハズや、試しにつかってみい。」
「そうね。まだ時間あるみたいだし、つかってみる!」
ヤギピーに促されるまま私は気になっていた新しい力を使うことにした。
新しい欠片に手を添え、力を籠めた・・・
すると私の両腕が青い光に包まれ翼状になった。
「おお、これはブルースター・ウィングってとこやな。」
ひょっとして今まで以上にすごい力を手に入れたのかもしれない。
「まさか見かけだけってことはないわよね。」
「なら試しに飛んでみればええねん。」
結構無茶を言っているように聞こえるが、今の私にはできそうな気がした。
ヤギピーがいうまま翼をはためかせると・・・
「わー、飛んだ!」
軽く羽ばたいただけで5メートルは軽く飛べてしまった。しかも思うように飛べるのである。
「わ!一気に魔法少女っぽくなってきたわね!」
「調子に乗って墜落すんなや~」
私は目が覚めるまで快適な空の旅を楽しみましたとさ。
「まさか、二つも欠片を奪われるとは・・・」
新たな力を手にし、喜んでいたのもつかの間、新たな魔の手が差し迫っていたのをこの時の私は知る由もなかった・・・
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