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「梅宮、お前は本当に期待を裏切らないよな」
「窪田さんの言うとおりです。ひなたさんってある意味すごいですね~」
時刻は夕方四時を過ぎたころ。
あんなに晴れていた空がどんよりとした雲に覆われ、ポツポツと雨が降り出してきた。
ああ、やっぱり。私はシャレにならないほどの雨女だ。
せっかく綺麗にした外窓がまた汚れてしまう。
「お前は筋金入りのの雨女だな。女王様クラスだよ。この際、世界で雨が降らなくて困ってる地域に行って雨乞いする仕事に転職したらどうだ?」
ニヤニヤとした笑みをたたえつつ、さも面白そうに窪田さんが私をからかう。
雨乞いする仕事なんて、そんなものはこの世に存在しないだろうに。
「雨乞いする仕事、いいですね。どこに行ったらその仕事に就けるのか教えてほしいくらいです!」
むぅ、と唇を尖らせて拗ねたように言うと、窪田さんに爆笑された。
私がなにかしたあとに雨が降るのはいつものことで、珍しくもないのに。
遠くで私たちのやり取りを聞いていた店長までクスクスと笑っている。
「女王様、お怒りにならないでくださいね。雨足が強くなってきましたから~」
萌奈ちゃんまで悪ノリをして私を女王様呼ばわりしてくる。
溜め息を吐きつつ店内から窓越しに外の様子をうかがうと、萌奈ちゃんの言うとおり、先ほどまで小雨だったのに雨足が次第に強くなってきた。
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