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朝起きたら秋だった。
昨夜は9月なのにまだまだ暑いなと思いながらベッドに入ったのに、起きたら肌寒い。急に秋の気配がやってきた。
まあ、これが続くかは判らないが、とりあえず僕は小さい秋を見つけた気分で部屋を出た。
同居している彼女の部屋をノックする。
今日はお互い休日で、急ぐ朝でもないが、大体起きる時間になっていた。
しかし、部屋から返事がない。
寝てるの?と言いながらドアを開けた。
そこで僕はミイラを発見した。
彼女はベッドの上に真っすぐ行儀よく、タオルケットに包まれて横になっていた。
僕は吹きだしそうになった。
薄いタオルケット1枚で昨日眠りについた彼女は、夜のうちにだんだん寒くなって、その1枚をもぞもぞしながら自分に巻き付けていったんだろう。
なまじ寝相が良いので、奇麗にぴったり体に布を巻き付けたまま、ピンと静かに体で直線を作っている。
しかし、僕の声がやっと脳に届いたのか、ドアを開けた空気の流れに気付いたのか、彼女はモゾッと、少し動いた。
「みのむしか!」
僕は小さな声でつっこんでから、朝食の準備をしにキッチンへ向かった。
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