『七才』

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 ドアを開けたのは、ハヤテだった。  ハヤテはびっくりした顔をしてたけど、泣いていなかった。  泣いてるのは、わたしだった。  ハヤテの顔を見たら、なみだと鼻水が、どんどん出た。  わたしは、むかしみたいに、わあわあ泣いた。  ユキトもドアのところにやってきて、わたしの名前を何度も呼んで髪をなでるので、わたしはよけいに、赤ちゃんみたいに泣いた。  ちがう、ハヤテが泣きそうだったから、と言いたかったけど、なみだで言えなかった。 「ママ」 と、わたしは言った。  そのかわりに。
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