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授業の前、廊下の造り付けのベンチの上で、隼がかがりを後ろから抱きしめている姿。
授業の後、まだ肌寒さの残る四月の曇天の下、教室の外の広々としたテラスで何故かふたりがなわとびをして遊んでいる姿。
その頃はまだかがりが専門としている競技を知らなかった。
隼の着ていた深い青のジャージの背には大学名と蹴球部の文字が入っていた。
かがりはあまりに華麗に跳ぶので、なわとびをしているようには見えなかった。
光沢のある白いジャージの上下。跳んでいるときの膝の裏までが伸びやかだと思った。
静かに抱き合っているふたりは、互いに相手を充電しているように見えた。
飛び跳ねて遊んでいるふたりは、幼い子どものように見えた。あるいはじゃれあう仔犬たち。
体育学科の学生たちは、片時も離れないふたりの姿を見慣れているようだった。
隼がかがりの髪をかき分けてその耳に口付ける。
僕だけがその光景に魅せられたように引き寄せられていた。
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