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11.二十一才 大学四年生 初夏
君を授かってこの世に迎えるにあたって、僕たちはとても温かいサポートを受けたし、大学をやめることなく継続できたのはとてもラッキーだった。
僕たちは、君のことも僕たちの関係性のことも、言いふらすことはなかったけれど、隠しはしなかった。
残念ながら良いことばかりではなかった。
君は将来、ワールドワイドウェブという開放的な海の中の、どこか閉鎖的な湿度の高い場所でそれに出会うかもしれない。
例えば。
誰かが僕たちに無断で、僕たちの写真をどこかに投稿した。
写真には、僕らの関係性が反道徳的で許されないことだと注釈が添えられていた。
僕らのために税金が無駄に使われたのだということも。かがりは一時的に福祉事務所の世話になった。
君がそのことを知って恥ずかしく思うとしたら、それは僕たちの力不足だったのだ。
君には申し訳ないと思う。
写真そのものはとても素敵だった。
共通の知り合いを通して芸術学科の学生さんが撮ってくれたものだ。
夕陽の差すグラウンドで、隼がおくるみに包まれた君を抱っこしている。
君の顔は見えない。
かがりは僕と手を繋ぎ、もう片方の手を隼の頬に添えている。
見る人が見れば、その場所が僕たちの大学のグラウンドであること、
隼の着ている深い青のジャージがサッカー部指定のものであることが分かる。
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