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「ことの真偽、とユキは言うけれど」
かがりは静かにしゃべり出した。
「わたしは確かに身体の線を露出させて踊ったし、堕胎はしなかった。それは正しいわ」
僕はかがりが更に落ち込むのではないかと心配した。
かがりは光沢のある白のジャージを脱いだ。
まずボトムスを、それから上着のジッパーも開けてするりと袖を抜いた。
ラベンダー色のレオタードに同色の薄い巻きスカートを重ねた。身体の横で、巻きスカートのリボンを縛る。
「ユキ。今日はピアノを弾いて。わたし今日は踊りたい」
かがりの目に力が宿っていた。
隼が口を開きかけて閉じた。
「無理はしない。まだ跳ばないわ。ちゃんと体重を落として筋肉をつける。そうよね」
かがりはしばらく前に右膝を痛めていた。
出産後、元のように跳ぶことは出来なくなっていた。
かがりはそれを認めたくなかったのだろう。以前と同じ練習をしたがった。
「当然のように踊ってきた。わたしにはそれしか出来ないんだと思ってた。何故踊りたくなるのか分からない。いま、すごく踊りたい」
かがりは立ち上がって両方のつま先を外側に向けた。
かがりは天国から引っ張られて吊り下げられているように見えた。
「性的な存在でいいわ。わたしが誰かの何かを疼かせるような踊りが出来るなら。ちょっとでも心を揺らせることが出来るのなら。そういうふうに踊れたらって思うわ」
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