12. 最後の1週間

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来週迎えると思われた忙しさのピークは前倒しになり、週の後半は目まぐるしく過ぎていき、土曜日は課の全員が休日出勤もした。 けれどその甲斐もあって、締め切り日までの目途もつき、清流も来週の残された日々は引継ぎのまとめや残作業に当てることができそうだった。 怒涛の週末を乗り越えた日曜日。 氏原から設定された期限まで、あと3日と迫っていた。 部屋の荷物の片づけがひと段落して、清流は自室から出てリビングにやってきた。 もともと半年の同居生活のつもりだったので持ち込んだ荷物が少ないのと、段ボールをそのまま残しておいたのが功を奏して、荷造りは順調に進んでいた。 窓際のソファーに座って、ぼんやりと外と眺める。 リビングの窓から見える景色が清流は好きだった。 視界の先には遮るものがなく、広い空と緑が見える。無機質に見える都心のビル群も、やや遠くからのぞむと美しく映った。 休みの日特に予定がないときは、ここに座ってお茶を飲んだり洸から借りた本を読んだり、好きに過ごさせてもらっていた。振り返ると贅沢な時間だったなと思う。 「…―る、清流、」 はっと我に返ると、洸が怪訝そうな顔でこちらを見ていた。 「すみません、ちょっと考え事をしていて」 洸は目の焦点合ってなかったぞ、と苦笑しながら清流の額を軽くはじいた。 ぼうっとしていたことを特に深く追及されなかったことに安心して、どうしたんですかと尋ねた。
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