12. 最後の1週間

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「そんなに運転心配?」 「え?」 「さっきからずっとこっち見てるから」 「いえ全然っ、すごく快適です」 速度は早いけど、急発進や急ブレーキなんて一度もない。大きな車なのに揺れもほとんど感じなかった。 「ならよかった。下手だと疑われたままかと思った」 「…その節は失礼なことを言ってすみません」 「それはいいけど、どうした?今日は何か静かだな」 言われてみると、車に乗ってからはずっと隣りの洸ばかりを見ていて、話すことを忘れていた。 「えっと…運転の邪魔になるかなと思って」 「何で。槙野とはいろいろ話したんだろ」 洸は少しムッとしたように目線だけ向ける。 確かに槙野が運転する車に乗せてもらったときは、マンションに着くまでの間いろんなことを話した気がする。あのときは、こんなに緊張したりしなかった。 たぶん緊張の正体は、慣れない密室空間と、その近さゆえにいろんなことが気になってしまっているせい――けれどそれを正直に言うわけにはいかず、清流は洸から目を逸らして正面を見ることしかできない。 そうしてしばらく走っていると、前の車のハザードランプが点灯して、車は速度を落とし緩やかに止まった。 「やっぱり少し混んでるか、しばらく動かなそうだな」 目線を上げると、注意喚起の看板には数キロ先の渋滞が表示され、赤色に明滅していた。
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