12. 最後の1週間

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この後どうする?と聞かれて、先ほど一人で歩いた辺りを一緒に見て回ることにした。 自分一人では入るのに勇気が必要だったお店も、洸とだったら入ることができた。 どこもお店は小さいけれど素敵なものが綺麗にディスプレイされていて、やはり見ているだけで楽しい。何度か目を惹かれたワンピースのお店の前を通ったけれど、そのお店だけはやはり入る勇気が出ず、横目で見るだけだった。 中でも特に時間を忘れたのは、小さな古本屋に入ったときだ。 仕事部屋の本棚を見ても思ったけれど洸はかなりの読書家で、かつ清流と好きなジャンルや作家の好みが似ていた。本を取りながら薦め合ったり、掘り出し物の初版本を見つけたりととても楽しかった。 2時間ほど買い物を楽しむと、晴れていた陽も傾き周囲が一気に薄暗くなっていた。秋に入ってだんだんと日が短くなっているのを実感する。 「時間は少し早いけど、この辺りで食べて帰るか」 洸の提案で、この界隈に来たときにはよく寄るという老舗の洋食屋に連れて行ってくれた。 煉瓦造りの洋館のような外観のレストランで、洸は常連らしく、店内に入るとスムーズにいつもの席だというテーブル席に通してくれた。 遠慮しなくていいと言われたけれど、洸が車なので自分もノンアルコールにしようと決めて、飲み物はノンアルコールのスパークリングワインを頼んだ。 メニューはどれも目移りしてしまって、せっかくだからと一皿を少し少なめにしてもらうよう頼んで、看板メニューのビーフシチューやエビフライなどを何皿かをシェアしながら食べることにした。 それもまた、洸と初めて会ったときに、ホテルのルームサービスをシェアしながら食べたことを思い出させて、清流は一人懐かしくも少し胸がぎゅっと締めつけられる。 「どうかしたか?」 「いえ、とても美味しいですね」 清流は悟られないように微笑んで、今こうして過ごせる幸せを嚙み締めた。
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