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ドーン! ドドーン!
海の言葉は、同時に打ち上げられた花火の音によってかき消されてしまう。
「え? 海、なに? 花火の音が大きくて、今なんて言ったのか全然聞こえなかった」
私が叫ぶように言うと、海が私の耳元へと顔を寄せてくる。
海の吐息が耳にかかって、くすぐったい。
「だーかーらー。俺は、純夏のこと大事な幼なじみだって思ってるから。離れてしまっても、これからもずっと変わらず友達でいてくれよなって言ったんだよ」
『大事な幼なじみ』
『これからもずっと変わらず友達』
今度ははっきりと聞こえたよ、海。
そんなふうに言ってもらえて嬉しい。
嬉しいけど……。
こんなにも、はっきりと言われてしまったら。
海のことを恋愛対象として見ていたのは、私だけだったのだと思い知らされる。
「……っう」
胸が、針が刺さったようにチクチクと痛む。
本当は今日のどこかで、海に勇気を出して『好き』って想いを伝えようと思っていたのに……。
そんなふうに先に言われちゃったら、もう言えないや。
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