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だって、海は私のことを “ 友達 ” だって言ってるんだから。
私が海に『好き』だと伝えても、きっと海を困らせてしまうだけ。
最後の最後に、大好きな海の困った顔なんて見たくないから。
私は、海への想いにそっと蓋をすることにした。
「あれ。なんか目にゴミが入ったみたい」
溢れそうになる涙を、私は海にバレないように指でそっと拭う。
「おい、純夏。目、大丈夫か?」
「うん、大丈夫」
今の涙、海にバレてない……よね?
私は、大きく深呼吸すると。
「さっきの言葉、ありがとう海。私にとって海も……大事な幼なじみで、大事な友達だよ。これからもずっと」
私は、心からの笑顔で海に伝えた。
海は私にとって大事な幼なじみであり、友達で。
そして何より……初めて好きになった特別な人だよ。
それからしばらくして、空が静かになった。
「……それじゃあ、純夏。帰ろうか」
「そうだね」
名残惜しく思いながらも、差し出された海の手に自分の手を重ねて歩き出すと、静まり返っていた夜空に花火がドーンと打ち上がって弾けた。
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