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‥‥‥新幹線の車両と言う名の閉ざされた檻の中で、車掌にその思惑を知られてしまったボクは最早、乗客を交えて、籠城するに至る他、道は残されてはいなかった訳で。
車掌を通して、警察関係者各位には連絡されてしまい、車両は、暫しの間、静岡駅で停車するに至った。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。。。
鉄道警察を通して、警視庁成城警察署刑事課第一捜査係の柳田班が連絡を受け、現場に駆け付けた事は言うまでも無い。
‥‥‥‥‥‥‥。。。
「‥‥‥習志野君。‥‥どうして?」
成城警察署勤務の柳田悦子警部補が、柳田班の署員を引き連れて現場に駆け付けたのは、連絡を受けてから2時間程が過ぎていた頃の事だった。
「‥‥‥どうして、かって?‥‥‥そんな事は、ボクの方が聞きたいよ!!」
「‥‥‥‥‥‥‥‥!?」
ボクは、悦子を含めた他の周りの聴衆を相手に、想いの丈を打ち明けようとした。
「‥‥‥だったら、どうして、昨年のクリスマス・イヴの日に起きた爆破事故は未然に防ぐ事は出来なかったんダ!?‥‥‥警察組織って、何時もそうだ。いつも、いつも、最後の最後まで、誰かを独りぼっちにさせておいて。何かしらの出来事が起きてしまってから、犯人像を描くヒトリの人間を、皆で寄って集って悪者呼ばわりする!‥‥‥何時も後手に回ってばかりじゃないか。。。」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥。。。」
「‥‥‥なのに、どうして、ボクの時だけ。どうして、どうしてぇ!」
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。。。
自由席車両の客席に腰を降ろしたままのボクと対峙している悦子の傍らで、物事の成り行きを見守っていた澤崎純名巡査が、そっと優しく、ボクに話し掛けて来た。
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