モノローグ 〜 復讐の風

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モノローグ 〜 復讐の風

西暦2022年12月24日。 劇団員としての日常での傍ら、パティシエとしての仕事を抱えていたこのボクが、クリスマス・イヴの日に起きた山陽新幹線の爆破事故の真相を知ったのは、その翌日の日の25日を迎えた早朝の頃の事であった。 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥。。。 そのクリスマス・イヴの日を迎えた午後8時にボクは虹谷百合子と待ち合わせの約束をしていた。その待ち合わせの場所と言うのは、ボクが勤めている製菓店の斜め向かいにある喫茶店。今の時代となっても、未だにレトロな雰囲気を醸し出しているかの様なお店の内装と懇切丁寧な接客。 店員と会話をしていると、何故だか田舎の町を久方振りに訪れたかの様な気持ちにさせてくれる。ボクは思わず、生まれ故郷の熊本県益城町での昔を思い出してしまっていた。 高等学校を卒業して以来の百合子との再会。あの頃と比べると、お互いに変わってたりするんだろうな?‥‥‥そんな期待と不安を募らせながら、その日、ボクは、百合子との待ち合わせの時間を気に掛けながら過ごしていたのだけれど。 そして、その日の午後8時。時間が過ぎても百合子が待ち合わせの喫茶店を訪れる気配は感じられない。思わず不安を感じながら、ボクは懐のスマートフォンで彼女に連絡しようとしたのだけれど、繋がりもしない。一抹の不安を残したまま、その日も一日が暮れてしまうのだった。 そして、その年の12月25日。 今となっても忘れる事の無い、その時のボクにとっては、呪われた日。‥‥忌日。 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥。。。 その年の暮れも差し迫っていた日のテレビから流れている朝の報道番組を目の当たりにしてしまったボクは、思わず手に汗を握るかの様な戦慄を覚えてしまうのだった。 (‥‥‥山陽新幹線爆破事故。。。)
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