モノローグ 〜 ボクの居場所

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‥‥‥それなのに! 何処かの馬鹿げた人間が、余計な事をしでかした為に、‥‥‥ボクは、たったひとつ切りの居場所を失ってしまった。。。 ‥‥‥失ってしまった刻は戻らない。 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥。。。 ボクには、‥‥‥分からない。何故に、その人間は、誰かを傷付ける事しか出来なかったのだろうか?‥‥‥何の為に、列車事故を起こさなければならなかったのだろう。何が、何の目的で、その人間を余程の衝動に駆られる迄に至らしめたのだろう。 警察組織の実況見分の事情も、初動捜査の実情に付いても、ボクの下にはその情報としても入って来る事は無い。何分、ボクは、警察官としての道を選んだ事は無いものだから。ボクは、パティシエの道を選んでしまったものだから。その問題が、生地の表面はカリッとしつつ、中はフンワリとしたスポンジのショートニングの配分の事だったのなら、何となく思い付く事は出来たとしても、情報捜査などと言うノウハウに付いては皆目見当も付かない。 何事も成す術も無く、ボクは途方に暮れたままで、時間だけが過ぎて行くのだった。操り糸が千切れてしまったマリオネットの様な人間社会を残したままで‥‥‥。 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥。。。 それでも、パティシエとしての道を選んだボクにとっては、悲しいサガなのだろうか?放心状態のままでも、ボクは、夜の帳が下りた頃、自宅のキッチンを使って、スポンジの生地を焼こうとしていた。 何かをしないではいられなかった。それも理由のひとつだったのかも知れない。只、百合子と再会する予定になっていたその日、ボクは、彼女の為にクリスマス・ケーキを焼いてプレゼントするつもりでいたものだから。もしも、自宅で上手く作れたなら、その内に百合子の笑顔と再会出来る様な気がして。そんな気がしたものだから‥‥‥。 事件は、その矢先に起きたのだった!
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