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取調室は蚊帳の中
「‥‥‥だからぁ、そのー、俺は、別に悪気があった訳じゃ無くてぇ〜!」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥。」
其処は、成城警察署の中にある取調室。柳田悦子警部補が、休暇を利用して、家族サービスに勤しんでいる頃。署内では、江藤茂巡査部長が代行して、坂巻悦郎を任意同行の上、机を隔てて、彼と向き合っていた。
「‥‥‥でもネェ。‥‥‥そう言われても、とにかく、殺害された神代玲美さんとアナタは、高校時代のクラスメイトだったのは、間違い無いんでしょ?」
江藤は、坂巻に話す。坂巻は、相変わらずの気怠さに満ちたかの様な口調で答えた。
「‥‥‥確かに、そうだけど。」
「ひとつ聞いていいですか。‥‥‥因みに、アナタは、隣の家の住人が神代玲美さんだと知っていた上で、無断で部屋の中へ入ろうとしたんですか?」
「‥‥‥エッ?‥‥‥いや、その。」
その時、江藤巡査部長は、坂巻に対して諭すかの様に言った。
「‥‥‥僕は、何も、アナタの事を最初から疑うつもりはありませんよ?‥‥‥だから、最後までアナタの事を信じさせて欲しい。」
「‥‥‥‥‥‥‥‥。。。」
改めて、江藤は、捜査内容について、坂巻に話し始めた。
「‥‥‥先ず、第一に、神代玲美さんの遺体からは、絞殺された死体から検出される吉川線も見当たらなかった。‥‥‥刃物の類に因る傷跡も無い。‥‥‥検視官に因る考察に因ると、彼女の後頭部からは血痕が確認されており、彼女の死因は、恐らくは脳挫傷に因るモノだと推定されている。‥‥‥つまり、強盗に因る犯行や怨恨に因る理由では無い可能性があるんです。計画的な犯行では無く、事の成り行きで思い余っての犯行に因るモノだと思うんですよ。。。」
「‥‥‥‥‥‥‥‥。。。」
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