真相は藪の中で語る

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SUBメモリの中では、2人の会話の一部始終が語られていた。 「‥‥‥もう、良い加減にしてよ!毎回、お金の事で言い寄られたって、ワタシだって困るし。特技とかを活かして働いてお金を手に入れるのが、普通でしょ?」 「そんなの、別に良いじゃねーかよ!これっ切りって言ってんだからさぁ。今度、バイトの面接に行こうって思ってる場所にも自転車が必要で。だから、自転車一台分だけで良いって言ってんじゃん。」 ‥‥‥生憎、2人の会話のやり取りは、音声でしか説明は付かなかったのだけれど、『ガサゴサッ』と聞こえる音から察するに、洞之上が玲美の財布の中を物色している音の様に窺える。その後、ふたりが取っ組み合いになる音が続き。 「‥‥‥勝手な真似、しないでぇ!」 「うるせえなぁ!‥‥‥大人しく渡せば良いんだよ。。。」 それ以来、何の音もせずに時間が流れ。暫くしてから玄関のドアが開く音が流れた。 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。。。 「事故現場の遺留品の中からも、洞之上の名義らしいスマートフォンが一台発見されていますから、ひょっとすると、事故現場で発見された死者の中に、洞之上も含まれていた可能性があります。」 江藤茂巡査部長が、悦子を含めた面前の前で物語っていた。 結局、山陽新幹線爆破事故の結末は、被疑者死亡の末、送検。しかしながら、本人が知的障害を患っている以上、不起訴処分となっていた恐れは、無きにしも非ず!‥‥‥と言われても過言では無いだろう。
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