118人が本棚に入れています
本棚に追加
二章
ノア様とのお茶会から5日が経った。
ノア様は毎日私の屋敷を訪れている。
勿論、顔合わせは体調不良という名の仮病で断っているが。
ノア様はせめてもの贈り物だと真っ赤な薔薇の花束を毎日置いていった。
「セレア様、街の人々にはセレア様の指示通り噂を流しました」
「ありがとう。街の人々の反応はどうかしら?」
「今の所、婚約者がある身で他の女に現(うつつ)を抜かすなどあり得ないという評判です。まさにその通りです」
侍女がしきりに頷いている。
今はそれでいい。
これから、男爵令嬢と王子様との美しい恋物語が始まるのだから。
最初のコメントを投稿しよう!