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僕はとある民間の研究所に勤めている。
研究所と言っても小さなところで、大企業の下請けのような仕事が多い。大企業には逆らえず、仕事は厳しい。
僕の専門はカビである。食品についたカビの種類が何であるか特定したり、 抗カビの効果を調べたりしている。
ある日、依頼があった。
呪われた家にあるカビを鑑定してほしいとのことだった。
その家は十数年前から空き家になっていて、肝試しと称してその空き家に勝手に入ってから数日後に亡くなる人がでた。それが広まって不法侵入者が増え、亡くなる人も増えたらしい。
呪いの原因を探るということで、霊能力者や風水師や占い師などの他に化学物質や磁場の専門家など、多種多様な人々が関わっている。そのうちの一人が 僕だ。
最初この鑑定は大企業に依頼があったらしいが、怪しげなことに関わりたくないのだろう、ウチの研究所に回ってきた。
僕が鑑定した結果、大発見だと分かった。
このカビが原因で、このカビに耐性が弱い人が亡くなってしまったらしい。
このカビはこの世にあってはいけないものだ。
カビから成分を抽出し高濃度にしたものを使えば、確実に人が殺せる。
死因を特定されることもない。
僕は呪われた家に火をつけた。火は家を燃やし尽くした。
神様が守ってくれたのか、僕は捕まらなかった。
僕の前に家に入っていた学生グループのタバコが疑われている。
もうあの家は、跡形もなくなった。
ウチの研究所のパワハラ所長が死んだのは、ただの偶然だよ。
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