極道なお義兄さまに淫紋を刻んだお嬢の愛は翼となって舞い降りる

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「何があっても起こっても、あたい、紫雀のこと、愛してる」 「知ってる」  淫紋の効果が切れたからか、疲れ切った紫雀の声が降ってくる。お互いはだかのままベッドのうえで身体を寄せ合って、うとうとと微睡む。  そこへ、ドタドタと騒がしい音が響く。 「ママあぁああ! いまのこえなぁに!?」 「し、しよくっ! 開けないでっ!」  寝室の扉をどんどんと叩かれて、羽鳥は跳ね起きる。くしゃくしゃのワンピースを慌てて着たところで、息子が寝室に入ってくる。情事の声をすっかり耳にしていたのだろう、はだかの紫雀を見て、怪訝そうな顔をしている。 「なんでしよくんとママのベッドにはだかのおじさんが寝てるの?」  息子が乱入してきたというのに今もなおすやすやと気持ちよさそうに眠っている紫雀を羽鳥は恨めしそうに見つめる。この状況をどう説明すればいいのか黙り込む母親と眠り込む男を見て、紫翼は意外なことを口にする。 「おじさんのおへそ、ママとおそろい?」 「そう、なの。ママとパパの、愛の印だから」
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