極道なお義兄さまに淫紋を刻んだお嬢の愛は翼となって舞い降りる

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   * * *  時は西暦――20XX年、近年の科学技術の発達により、淫紋認証なるものが実用化されて早五年が経過していた。  将来を誓い合った者同士を精神的にも肉体的にも繋ぎとめる技術として、世界の富裕層を中心に利用されるようになっているそれは、ペアリングされていない相手による性的接触を感知すると淫紋が発動し、パートナーを強制的に呼び寄せる特徴がある。浮気防止、性犯罪抑止に役立っているとして、使用が認められるようになって以来世間一般に知られるようになっていた。  ただ、淫紋を彫るためには世界共通ルールとして十八歳以上の男女の同意と、認証システムの登録準備のためにつかわれる高額の技術使用料が必要になる。淫紋を消す場合にもペナルティとして更なる金額を納めなくてはならないため、実際に身体に刻みつけるとなると物怖じする輩も多い。  だが、指天会(してんかい)系暴力団雀座(すずめざ)組に所属している舎弟頭、尾藤(びとう)紫雀は、確認を取られることもなく一方的に淫紋を刻まれてしまった。それも、ずっと妹のように思っていた若頭の娘、向野(むかいの)羽鳥に。
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