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「お義兄さまもご存じですよね? 鳩ケ谷組の若頭とお嬢は組公認で淫紋認証を刻んだそうですよ。幼い頃から変わらぬ愛と至上の快楽を刻みつけ合う関係って素敵ですよね!」
「だ、だからってどうして俺と羽鳥が」
「ペアリングも済みましたし、これで淫紋を消さない限りパートナー変更はできませんよ。思う存分あたいを抱いてくださいね!」
「そういう問題じゃねぇだろ!」
留守がちの若頭に代わり、紫雀は羽鳥の面倒を幼い頃からみていた。ほかの組員と異なり出入――組同士の抗争に巻き込まれることもなく、昔から組長や若頭の弟分として淡々と過ごしていた彼は、本人はけして認めていないが子守としても優秀だった。若頭の娘である羽鳥は紫雀を「お義兄さま」と呼んで慕っていた。
兄妹のような関係だと紫雀は思っていた。
彼女が成人してからもその関係は変わらない、と。
――そう思っていたのは自分だけだったらしい。
「ずっとお義兄さまのことお慕いしておりますって言ってるのに、ぜんぜん相手にしてくださらないんですもの。強硬手段に走るのも仕方ないですよね?」
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